「オフィスに溢れる紙の書類をなんとかしたい」「DX推進のためにペーパーレス化を進めたいけど、紙データを電子化する費用がどれくらいかかるか分からず、一歩踏み出せない」
このようなお悩みをお持ちの企業担当者様は多いのではないでしょうか。
紙の書類は、保管スペースの圧迫、情報の検索性の低さ、紛失や劣化のリスク、テレワークへの対応困難など、多くの課題を抱えています。これらの課題を解決する「紙データの電子化」は、もはや企業にとって避けては通れない重要な取り組みです。
しかし、その際に最も気になるのが「費用」の問題です。
そこでこの記事では、紙データの電子化を検討している方に向けて、以下の内容を網羅的に解説します。
- 紙データ電子化の具体的な費用相場
- 料金を左右する詳細な内訳とオプション
- 費用をできるだけ安く抑えるための5つのコツ
- 費用だけで選んではいけない業者のチェックポイント
- 電子帳簿保存法に対応した効率的なデータ管理方法
この記事を最後まで読めば、紙データの電子化にかかる費用の全体像を正確に把握し、自社に最適な方法で、賢くコストを抑えながらペーパーレス化を推進できるようになります。
Contents
【結論】紙データの電子化費用の相場は「1枚3円~30円」が目安

結論から言うと、専門業者に依頼した場合の紙データの電子化費用は、A4用紙1枚あたりおよそ3円~30円が相場です。非常に価格差が大きいと感じるかもしれませんが、これはスキャンする書類の状態や、どこまで作業を依頼するか(オプション)によって料金が大きく変動するためです。
まずは、基本的なスキャニング料金の相場観を掴んでおきましょう。
項目 | 一般的な費用相場(A4・1枚あたり) | 備考 |
---|---|---|
モノクロスキャン | 3円~10円 | 契約書や請求書など、文字情報が中心の書類向け。 |
カラースキャン | 5円~30円 | 図面、パンフレット、写真など色情報が重要な書類向け。 |
大型サイズ(A3~A0) | 50円~数千円 | 図面やポスターなど。サイズが大きくなるほど高額になる。 |
上記の基本料金に、後述する様々なオプション料金が加わることで、最終的な電子化の費用が確定します。ただ単に「スキャンするだけ」で終わらないのが、紙データの電子化の重要なポイントです。
紙データを電子化する2つの方法とそれぞれの費用感

紙データを電子化するには、大きく分けて「自社で行う(内製)」か「専門業者に依頼する(外注)」かの2つの方法があります。それぞれのメリット・デメリットと費用感を比較してみましょう。
1. 自社で電子化(内製)する場合の費用
自社でスキャナーなどを購入し、従業員が作業する方法です。一見コストを抑えられそうですが、機材購入費や人件費といったトータルコストを考慮する必要があります。
【必要なものと費用】
- スキャナー購入費:数万円~数十万円(性能や耐久性による。高速スキャナーは高価)
- パソコン:既存のものを利用可能だが、大量のデータを扱うため高性能なものが望ましい
- OCRソフト費用:数万円~(スキャナー付属の場合もあるが、高精度なものは有料)
- 人件費:最も見落としがちな最大のコスト。従業員の作業時間×時給で計算すると、膨大な費用になるケースが多い。
【メリット】
- 機密情報を外部に出さずに済むため、セキュリティが高い。
- 自社のタイミングで少量から電子化できる。
【デメリット】
- 従業員の通常業務を圧迫し、生産性が低下する。
- スキャンの品質にばらつきが出やすい。
- トータルで考えると、外注より費用が高くつく可能性がある。
2. 専門業者に依頼(外注)する場合の費用
スキャニングを専門に行う業者に、書類を預けて電子化してもらう方法です。多くの企業はこちらを選択します。
【費用】
- スキャニング料金:前述の通り、1枚3円~30円が目安。
- オプション料金:後述するOCR処理やファイル名変更など。
【メリット】
- 高品質・高精度なデータ化が期待できる。
- 専用機材により、スピーディーに大量の書類を電子化できる。
- 従業員は本来の業務に集中でき、生産性が向上する。
【デメリット】
- 外部に書類を預けるため、セキュリティ体制が万全な業者を選ぶ必要がある。
- 初期費用としてまとまったコストがかかる。
一時的な人件費や品質を考慮すると、書類の量が多いほど専門業者に依頼する方が、結果的にコストパフォーマンスは高くなる傾向にあります。
専門業者に依頼する場合の費用内訳

ここからは、業者に依頼する場合の紙データの電子化費用について、その詳細な内訳を解説します。見積もりを取る際に必ずチェックすべき項目です。
基本料金(スキャニング料金)を決める要素
基本となるスキャニング料金は、以下の要素の組み合わせで決まります。
要素 | 内容と費用への影響 |
---|---|
① 用紙サイズ | A4が基本。A3、B4など大きくなるほど料金は高くなる。A2以上の大判図面は特殊料金になることが多い。 |
② カラー/モノクロ | モノクロが最も安価。カラーはインクやデータ量の関係で割高になる。グレースケールはその中間。 |
③ 解像度(dpi) | 200~300dpiが一般的。高解像度(400dpi以上)にすると、文字や画像は鮮明になるが、データ量が大きくなり料金も上がる。 |
④ 書類の状態(前処理) | ホチキスやクリップ、付箋の取り外し、ファイリングされた書類の取り出しといった「前処理」が必要な場合、追加料金がかかる。事前に自社で外しておくと費用削減に繋がる。 |
⑤ ファイル形式 | PDFが最も一般的。JPEG、TIFFなど、指定する形式によっては追加料金が発生する場合がある。 |
あると便利な「オプション料金」の内訳
電子化したデータを「ただの画像」ではなく「活用できる資産」にするためには、オプションの活用が不可欠です。ここの選択が、電子化の成否を分けると言っても過言ではありません。
【主なオプションサービスと費用相場】
- OCR(光学的文字認識)処理:1枚あたり+1円~10円画像データ内の文字をテキストデータに変換する処理。これにより、ファイルの中身をキーワードで検索できるようになるため、電子化のメリットを最大限に引き出す必須オプションです。
- ファイル名変更(リネーム):1ファイルあたり+10円~50円「契約書_A社_20231026」のように、指定したルールでファイル名を変更する作業。手作業で行うと膨大な時間がかかるため、業者に依頼する価値は高い。
- フォルダ分け:料金は要相談「年度別」「部署別」など、指定した階層でフォルダを自動作成してくれる。
- 原本の保管・廃棄:段ボール1箱あたり月額数百円(保管)、数千円(廃棄)スキャン後の原本を一定期間保管したり、機密情報として溶解処理などで廃棄したりするサービス。
- 出張(オンサイト)スキャン:通常の1.5~2倍程度の料金社外に持ち出せない機密書類などを、業者が自社に出向いてスキャンするサービス。
- 電子契約タイムスタンプ付与:1ファイルあたり+数円~電子帳簿保存法のスキャナ保存要件を満たすために必要な措置。データの存在証明と非改ざん証明を行う。
紙データの電子化費用を安く抑える5つのコツ

ここまで解説した内容を踏まえ、紙データの電子化費用を賢く抑えるための具体的なコツを5つご紹介します。
コツ1:事前に書類を徹底的に整理する
業者に依頼する前に、自社でできる準備をしておきましょう。これだけで費用を大きく削減できます。
- 不要な書類は廃棄する:電子化する必要のない書類は、この機会に処分しましょう。スキャン枚数が減れば、当然費用は安くなります。
- ホチキスやクリップを外す:業者の「前処理」費用を削減できます。地道な作業ですが効果は絶大です。
- 付箋を剥がす・メモを転記する:スキャンエラーの原因になったり、隠れた文字が読み取れなかったりするのを防ぎます。
コツ2:モノクロ・低解像度で十分な書類を見極める
全ての書類をフルカラー・高解像度でスキャンする必要はありません。
- 文字が中心の社内文書や請求書:モノクロ・200dpiで十分な場合が多い。
- 写真や図面が含まれる資料:カラー・300dpi以上を検討。
このように仕分けを行うことで、全体の単価を下げることができます。
コツ3:複数の業者から相見積もりを取る
これは基本中の基本です。最低でも3社以上から見積もりを取り、料金とサービス内容を比較検討しましょう。その際、料金の安さだけでなく、後述するセキュリティや品質も必ずチェックしてください。見積もりの内訳が不明瞭な業者は避けるのが賢明です。
コツ4:自社でできる作業は自分たちで行う
ファイル名の変更やフォルダ分けは、ルールが単純であれば、納品後に自社で行うことでオプション費用を削減できます。ただし、書類の量が膨大な場合は、業者に任せた方が人件費を含めたトータルコストは安くなる可能性もあります。作業量と人件費を天秤にかけて判断しましょう。
コツ5:長期的な視点でコストを考える
初期費用だけでなく、電子化によって削減できる未来のコストも考慮しましょう。
- 保管コストの削減:オフィスや倉庫の賃料、キャビネット購入費が不要に。
- 検索コストの削減:書類を探す時間が大幅に短縮され、人件費が削減される。
- 印刷コストの削減:紙やトナー代、プリンターの維持費が削減される。
紙データの電子化は「コスト」ではなく「未来への投資」と捉えることが重要です。
注意!費用だけで業者を選んではいけない3つのポイント

「一番安い業者に依頼しよう」と考えるのは非常に危険です。安さには理由があります。大切な会社の情報を預けるのですから、以下の3つのポイントは必ず確認してください。
- セキュリティ体制は万全か
情報漏洩は企業の信頼を根底から揺るがす大問題です。プライバシーマーク(Pマーク)やISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)認証を取得しているか、作業場所の入退室管理は徹底されているかなどを確認しましょう。 - 品質は信頼できるか
スキャン漏れや画像の傾き、文字の不鮮明さなどがあっては、電子化した意味がありません。過去の実績や取引先を確認したり、事前に少量のサンプルで品質をテストさせてもらったりすることをおすすめします。 - 電子帳簿保存法への対応は可能か
特に国税関係書類(請求書、領収書、契約書など)を電子化する場合、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。タイムスタンプの付与や、法要件に関する知識を持った業者かどうかは、非常に重要な選定基準となります。
電帳法対応ならクラウド文書管理システムの導入が最適解
紙データの電子化は、スキャンして終わりではありません。電子化したデータをいかに安全に管理し、効率的に活用していくかが、ペーパーレス化成功の鍵を握ります。
特に、2024年1月から完全義務化された電子帳簿保存法への対応は、すべての企業にとって急務です。この法律は、電子データで受け取った書類(電子取引)のデータ保存を義務付けるだけでなく、紙の書類をスキャンして保存する際(スキャナ保存)にも厳格なルールを定めています。
【電帳法 スキャナ保存の主な要件】
- 一定水準以上の解像度(200dpi以上)での読み取り
- タイムスタンプの付与
- バージョン管理ができること
- 検索機能の確保(取引年月日、取引金額、取引先で検索できること)
これらの要件を、単にスキャンしただけのPDFファイルで管理するのは非常に困難です。
そこで最適解となるのが、電子帳簿保存法に対応したクラウド文書管理システムの導入です。
スキャニングサービスとシステムを連携させることで、紙データの電子化から法対応、そして日々の業務での活用までを、一気通貫で実現できます。
電帳法対応ならAI-OCR搭載クラウド文書管理システム「スペシウム」

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